家庭内ネットワークのLANポート増設に、安くて高性能な5ポートスイッチングハブをおすすめするNAGATOMEです。
まず、スイッチングハブのお話の前に、有線接続と無線接続について少し触れておきます。
テレビやゲーム機といった機器を遅延なくインターネットに接続するには、無線より有線でLANを繋いだ方が安定しています。
無線の技術も向上しWi-Fi6(IEEE802.11ax)では理論上9.6Gbpsと超高速通信が実現できますが、一方でその実態は電波です。
無線ルーターの出す周波数(Wi-Fi6なら2.4Ghzと5Ghz帯)と近しい周波数がぶつかると干渉がおきますし、密閉性の高い部屋なら電波が届きにくいなんてことも。
もちろん最近のルーターはオートチャンネルセレクトの機能がありますし、中継機やメッシュWi-Fiを使えば改善はできます。
有線は言わずもがな配線をする必要がありますが、無線と比較しノイズの影響も受けにくく、安価で安定した通信を行う事ができます。
オンラインゲームなど遅延が致命的になるような機器や、快適にインターネットを楽しみたいPC、テレビの接続には有線接続がおすすめです。
前置きが長くなりましたが、先に挙げた機器など、ルーターに複数有線接続しようとすると…
ポート(LANケーブルを接続する口)が足りなかったり、欲しいところで配線の分岐ができないなどの問題が起こります。
そんな時におすすめなのがスイッチングハブ。
上図の様にルーターに繋いでポートを増設する事ができます。
しかし、製品サイトやパッケージにごちゃごちゃ仕様が書いていますが、専門知識が無い多くの方にとっては何を基準に選べば良いのかさっぱりだと思います。
意味わからんですよね。
本記事では数多の製品がある一般家庭向けの5ポートスイッチングハブについて、どのポイントを押さえて購入すべきかを解説していきたいと思います。
それでは「快適にネットやゲームができる一般家庭向けの5ポートスイッチングハブの選び方 おすすめスイッチングハブもご紹介!」を書いていきます。
5ポートスイッチングハブの選び方の結論
光回線事業者とどのような契約を結んでいるかによりますが、多くのご家庭が最大1Gbpsだと思います。
以降、一般家庭で1Gbpsの光回線を契約している前提でお話しさせてもらいますね!
結論から言うと、大体のメーカーの5ポートスイッチングハブはほぼ同じ機能を有しているため、消費電力の差と、信頼できるメーカーかで選べば良いと思います。
ざっと以下の様な項目がありますが、先にお伝えした通りこの辺りは5ポートスイッチングハブならどの製品も大体同等です。
大体同等な機能一覧 |
---|
通信速度 |
金属筐体 |
ファンレス |
オートネゴシエーション |
Auto-MDI/MDIX |
転送方式(ストア&フォワード) |
フローコントロール |
レイテンシ |
MACアドレステーブル数 |
バッファメモリの容量 |
5ポートスイッチングハブの選び方 通信速度
1ポートあたりの通信速度が1000Mbps(1G bps)、5ポートスイッチングハブでスイッチング容量は10Gbpsのものを選びましょう。
スイッチング容量について、全二重通信であることを加味して以下の計算になります。
1000Mbps(伝送速度)×5(ポート数)×2(全二重通信)=10000Mbps=10Gbps
これを満たしていない場合、全ポートに対して1Gbpsの通信があると、スイッチングハブの内部の処理で遅延が生じます。
まあ、メジャーなメーカーの5ポートスイッチングハブのスイッチング容量は10Gbpsなので、さほど心配する必要は無いと思われます。
実際のところ全てのポートが同時に通信できる容量(10Gbps)が常に必要なわけでも無いです。
5ポートスイッチングハブの選び方 消費電力
5ポートスイッチングハブは各メーカー大体性能が同じなので、決め手とするなら消費電力になってくるのかなとNAGATOMEは思います。
加えて、信頼できるメーカーである(実績がある)ことですね!
2〜3Wくらいのモデルが多いと思いますので、性能差やメーカーがトントンなら、消費電力で決断して良いかと思います。
例えば1kWhあたり30円だったとして、24時間365日2W、3Wでそれぞれ稼働したとすると、以下の料金になります。
2Wの場合
24(h)× 365(日)× 2(W)× 30(円)/ 1000(Wh)≒ 526(円)
3Wの場合
526 × 3 / 2 = 789(円)
と、1Wあたりで年間200数十円違ってきます。
あくまで計算は計算で、常にMAXの消費電力で動いてる訳では無いですし、自動調整機能もあるのでここまで大きな差は出ないかと思いますが、1Wの差でも長い時間で考えるとそれなりに違いますね。
5ポートスイッチングハブの選び方 筐体
安価な5ポートスイッチングハブではプラスチック、または金属筐体が主流かと思います。
金属の方が熱の放出には優れますが、プラスチック筐体でも動作やパフォーマンスに基本問題は無いかと。
5ポートスイッチングハブで熱でどうこうなった経験はないですが、常に高負荷だと違いが出てくるのかも…ですね。
一般家庭で使う範囲であれば、好みと価格で選ぶと良いと思います。
5ポートスイッチングハブの選び方 冷却ファン
一昔前がどうだったのか分かりませんが、5ポートスイッチングハブだと現在の主流はファンレスタイプになると思います。
そもそもの放熱量も少ないのでファンが無くても問題ないですし、もちろん音がしないので寝室などに設置してもOK!
ただ、寝室に設置するならインジケーターランプがチカチカするので、置き場所は検討が必要です。
5ポートスイッチングハブの選び方 オートネゴシエーション
オートネゴシエーションは通信相手の通信速度や通信モードを確認し、自動で切り替えてくれる機能です。
イメージとしては下図の通りになります。
情報を交換して、通信相手にとって勝手に一番良い方法で通信するので、まるで交渉(ネゴシエーション)しているみたいですね!
製品仕様にはAuto-Negotiation (10/100/1000,Full/Half-Duplex)といった様に表記されています。
今どきのスイッチングハブなら基本的にオートネゴシエーション機能を有しているので、製品を選ぶときの判断基準にはならないと思います(あって当然くらいの機能)。
5ポートスイッチングハブの選び方 Auto-MDI/MDIX
Auto-MDI/MDIXはLANケーブルがストレートケーブルかクロスケーブルか、自動で判別して通信できるようにしてくれる仕組みです。
本来、接続する機器(PC同士、PCとスイッチなど)によりストレートケーブル、クロスケーブルを分ける必要がありました。
昨今の機器は基本的にAuto-MDI/MDIX機能を有しており、ケーブルもストレートケーブルが主流です。
ストレートケーブル、クロスケーブルを意識する必要は基本的に無いでしょう。
LANケーブルの選び方については別記事でも触れていますので、気になった方はこちらもご覧ください。
5ポートスイッチングハブの選び方 ループ検出
ループ接続とは、ハブをループ状に繋いだり、もっと単純であれば、同じスイッチングハブあるポートから出て別のポートへ入っていく状態です。
この状況において、ネットワーク上で同じデータがぐるぐると巡回するといった事が起こります。
データは肥大化し、ネットワークの帯域を使い切るため、通信に大幅な遅延が生じたり、ダウンしたりします。
なので、5ポートスイッチングハブにはループ検知・遮断機能を有している製品もあります。
とは言え、一般家庭でループ状にスイッチングハブを接続するという状況は基本無いと思うので、そこまで必要な機能ではないかと。
どちらかと言うと、端末を多数接続するのに、スイッチングハブ同士を接続したりする企業向けの機能と言えます。
5ポートスイッチングハブの選び方 転送方式
転送方式には以下があります。
転送方式 | 説明 |
---|---|
ストア&フォワード | 受信したデータ(フレーム)を一旦バッファリング(一時的に記憶)し、データが壊れていないかチェックした後、転送します。品質は高い(信頼性○)ですが、少なからず遅延は発生します。 |
カットスルー | 受信したデータ(フレーム)の宛先だけを確認して転送します。ストア&フォワードと比較し、高速な処理ができますが、データをチェックしないため品質は低いです。 |
フラグメントフリー | 受信したデータ(フレーム)の簡単なチェックを行い転送します。それなりの品質&それなりの速度で処理できます。 |
5ポートスイッチングハブというか、おそらくほとんどのスイッチングハブがストア&フォワードの転送方式を取っているかと思います。
メーカーは品質を優先しているんですね!
ストア&フォワードは少なからず遅延が発生しますが、とは言え販売されているスイッチングハブの速度に問題はなく、人間が認知できるものではないので、オンラインゲームやストリーミングにもほぼほぼ影響はありません。
5ポートスイッチングハブの選び方 フローコントロール
ストア&フォワードの通信速度差によるメモリオーバーフロー(データのロス)を防ぐ機能です。
フローコントロール機能があれば、データを送り出す側の送信料を制御したり、一時的に停止することでデータのロストを防ぎます。
こちらも最近の5ポートスイッチングハブなら有している機能なので、同等の製品を比較する基準としてはあまり考慮しなくて良いと思います。
5ポートスイッチングハブの選び方 レイテンシ
転送方式のセクションでお伝えした通り、現在のスイッチングハブはほとんどが「ストア&フォワード」です。
スイッチングハブの内部では受信したデータ(フレーム)を一旦バッファメモリに保存した後、チェックをかけてから転送するような仕組みになっているため、少なからず遅延が発生します。
レイテンシとはその遅延のことで、スイッチングハブがデータを受信→転送までに発生します。
単位は「μs」や「μsec」(いずれもマイクロ秒(100万分の1秒)で表記されており、値が小さいほど遅延が少ない(レイテンシが小さい)と言えます。
ストア&フォワードでご説明した通り、販売されているスイッチングハブの速度に問題はなく、遅延も人間が認知できるものではないので、オンラインゲームやストリーミングにもほぼほぼ影響はありません。
5ポートスイッチングハブの選び方 MACアドレステーブル数
MACアドレスとは、機器(ネットワークインターフェースカード)のもつ一意の番号です。
一意とは言いましたが、ツールでMACアドレスを偽装することは容易にできます。
ご参考までに、過去にMACアドレスの記事について書いていたので気になる方はご参考ください。
スイッチングハブは接続されている機器のMACアドレス目掛けてデータの転送を行います。
そのためにはスイッチングハブ自体がMACアドレスを記憶しておく必要があります。
以下のようにMACアドレステーブルと呼ばれる、MACアドレスとポートを組み合わせた情報をもっています。
MACアドレス | ポート |
---|---|
0a:1b:2c:3d:4e:5f | GigabitEthernet0/1 |
1a:2b:3c:4d:5e:6f | GigabitEthernet0/2 |
6a:5b:4c:3d:2e:1f | GigabitEthernet0/3 |
最近のスイッチングハブには一定のテーブル数があるため、こちらもスイッチングハブ選びにおいてはあまり気にしなくて良い項目になります。
一般家庭においてテーブル数が不足することはまず無いでしょう。
5ポートスイッチングハブの選び方 バッファメモリ
バッファメモリはストア&フォワードで一時的にデータを格納する領域です。
もちろん、バッファメモリの容量が大きい方がより多くのデータを格納することができます。
ただ、こちらも最近のスイッチングハブだと一定の容量があるので、あまり気にする項目では無いでしょう。
5ポートスイッチングハブの選び方 PoE
PoEとはPower over Ethernetの略で、LANケーブルから電源を供給する仕組みのことです。
PoEがあれば、電源が取れないような場所でもLANケーブルを介して電源を供給することで設置することができます。
例えば、屋根裏など電源の取れないところから無線ルーターを設置したり、と言ったイメージです!
安価な5ポートスイッチングハブにはPoEの機能が基本無いので、設置がコンセント周りになってしまいます。
少し値段は上がりますが、PoEに対応している5ポートスイッチングハブもあります。
とは言え、一般家庭でよほどこだわりが無い限り必要とは思えませんが。
その場合、ルーターもPoEに対応しているか、PoEインジェクターが必要です。
おすすめの5ポートスイッチングハブ
バッファロー スイッチングハブ LSW6-GT-5ESL/NBK
コンパクトかつ背面に配線を集約できるという特徴を持っている、信頼性の高いメーカー「BUFFALO」の製品バッファロー スイッチングハブ LSW6-GT-5ESL/NBKです。
正面にはLEDのインジケータランプ、背面はポートが5つと電源ポートがあります。
金属筐体でプラスチック筐体のものより見た目は○。
放熱効果の高い金属筐体に加え、側面は肉抜きされており、更に放熱性を高めている様に見受けられます。
サイズ感もコンパクトでなんと手のひらサイズ!
NAGATOMEの手が大きいってのもありますが(笑)
安価ではありますが、安っぽさはあまり感じさせない作りになっています。
電源ポートも背面に集約されているので、ケーブル類を1方向にまとめることができ見た目もスッキリします。
NETGEAR スイッチングハブ GS305
米国NETGEAR社のコンパクトスイッチングハブで、消費電力が小さいのが特徴な製品NETGEAR スイッチングハブ GS305です。
正面にポートがあるタイプで、電源や通信状態のインジケーターランプもあります。
金属筐体でプラスチック筐体のものより見た目は○。
正面にポートとLEDランプがあることから、サーバーラックに積んでいる企業向けのスイッチの面影があります。
NETGEAR スイッチングハブ GS305の消費電力は最大で2.15Wとかなり節電できます。
とは言え、スイッチングハブは常時稼働しているもの。
1kWhあたり30円で計算したとして…
最大消費電力で365日常時稼働で大体円565円程度の金額になります。
ただ、リンク状態やケーブルの長さに応じて消費電力を自動で調整する機能も有しているため、元々の消費電力を考えると大きく抑えることができそうです。
今回はスイッチングハブの選び方やポイントについて書いていきます!